第二話

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 ☆  ヨゼに言われた通り、武器の訓練は一時間与えた。だが、ヨゼは与えられた時間の半分ほどで訓練を止めて、闘技場の広間に放たれたガスペロクを遠くから観察していたらしい。その表情は真剣そのものだった、とヨーデルは闘技場の管理をしている男から聞いた。  「時間だ。ヨゼ、準備はいいな」  「いつでも」  「よし」  ヨーデルは闘技場の管理をしている男に、やってくれ、と頼んだ。男は頷き、広間に設置された、分厚い金網でできたシャッターを上げる。そしてヨゼとハクは広間に足を踏み入れた。  「シャー!」  ガスペロクは、大きなモモンガに似ている。しかし、たくさん食べるガスペロクはとても太っていて腹が大きく出ているのが特徴だ。  栗色の毛並みを逆立て、ガスペロクは威嚇をしていた。シャッターが下り、退路が塞がった。  いざという時はヨーデルも参加して、強制的に戦いを中止できるようにシャッターの前で様子を見ている。  「さて、どうする……?」
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