第二話

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 「ハク」  「がう」  ウォーウルフのハクが駆けた。ハクはガスペロクを囲むように周りを走る。一瞬だが、ヨゼが威嚇の対象から外れた。  その隙をヨゼは見逃さなかった。弓を構え、矢を放つ。矢は直線に飛び、柔らかそうな腹に刺さった。ガスペロクが咆哮を上げる。  「ウォーウルフを囮に使うか」  ヨーデルがつぶやいた。続けてヨゼは何度も矢を放つ。ガスペロクとの距離がある今のうちに、可能な限り攻撃したいのだろう。  「シャー!」  しかし、ガスペロクはヨゼを標的に変えた。何本もの矢が刺さったガスペロクは大きくジャンプして、天井を舞う。  「ハク!」  危険を察知したヨゼがハクを呼ぶ。ハクはヨゼの方へ走り、急ぐ。 足かせが無ければ長時間飛べるガスペロクだが、今回は飛行時間が短い。ガスペロクはヨゼの真上まで飛ぶと、放屁した。屁が真下にいるヨゼを襲う。  ヨゼは冷静に対処した。口を手で覆い、息を止める。それからすぐハクがやって来て、ヨゼはハクの背に飛び乗り、ガスペロクから距離を取る。
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