第二話

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 「げほっ。ごほ、ごほ」  それでもガスペロクの屁は強力だ。ヨゼの目に涙が浮かんだ。  「観察している時に、放屁は危険だと思っていたけれど、こんなにきついなんて」  「ほう。ガスペロクの放屁を事前に見ていたのか」  ガスペロクの一番の武器は、強烈な放屁だ。爪や牙も危険だが、モンスターの中ではそこまでではない。素早い動きと放屁。そこがガスペロクの強い点だ。更に言えば、放屁するほどに、ガスペロクの身体は機敏になる。それをヨゼが理解しているのだとしたら、ダガーによる接近戦は選ばないだろう。現に、ヨゼはウォーウルフを使ってすぐに距離を取った。  「だが、ガスペロクは素早い。距離を取り続けるにはウォーウルフを上手く扱う必要がある」  ヨーデルの言った通り、ガスペロクは再び飛び、距離を縮めようとする。ヨゼとハクはひたすら逃げ続けた。  「あれからずっと逃げ続けているけれど、もう勝てないと思ったのか? だとしたら、もう助けに入った方が良いんじゃ……」  と、闘技場の管理人がヨーデルに話しかける。心配そうだ。
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