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弓を背中にしまったヨゼは、腰にあるダガーを抜く。それからそっとガスペロクに近づいた。
完全に意識を失い、眠っていることを確認すると、ヨゼがヨーデルたちのいる方を見る。勝敗は決した、と言わんばかりに。ヨーデルはシャッターを上げるように男に命令する。
シャッターが上がった。ヨーデルがヨゼに近づく。管理をしている男は人を集め、ガスペロクを檻の中に入れる作業に移る。
「やはり、矢に何か仕込んでいたな」
ヨーデルが訊ねる。ヨゼは無表情で答えた。しかし、少し息が上がっていた。
「嗅いだり体内に入ると、睡眠作用がある液体を、矢筒に入れておきました。睡眠作用が強力すぎるから、扱いに細心の注意を払う必要がありますけどね」
「そういうことか」
確かにそういう液体が闘技場に用意されているのは把握していた。だが目を離していた一時間の間に、矢筒に細工をしていたとは。
「で、これで僕は合格ですか?」
真っ直ぐヨーデルの瞳を見つめるヨゼ。ヨーデルは笑った。
「もちろんだ。本当は反対したいところだが、人手が欲しいのも事実。歓迎するよ、ヨゼ」
手を差し出すヨーデル。握手を求める。ヨゼはその手を握った。
「はい。これから、よろしくお願いします」
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