第一話

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 「卒業証書、授与」  とある地では、モガルメント学園という、モンスターの狩猟や知識を蓄えるための学校が存在する。狩人になるため、狩猟を主に学ぶ生徒は、そこで武器の扱いを覚える。学者志望の生徒はモンスターの特徴など、知識を深める。  この星、レギールには様々なモンスターが生息しているが、その生態は、未解明のものがまだ多く存在する。故に、モガルメント学園の生徒は、貴重な人材と言える。  そんなモガルメント学園では、卒業式が行われていた。生徒は皆、黒い服を着て、壇上に上がり、卒業証書を受け取る。  「ヨゼ」  名前が呼ばれて、白髪で小柄な男子が壇上に上がる。ひそひそと周囲の生徒が話す。  「飛び級で卒業だったか。まだ十五歳だろう」  「ああ。苗字がないから、育った環境は良くないだろうに。才能かね」  「卒業したらどうするつもりなんだろうな」  「そりゃあ、学者として、学園に残るんじゃないか?」  学園長である老いた男性がヨゼに卒業証書を渡す。そのとき、学園長は朗らかな笑みを浮かべていた。ヨゼは卒業証書を受け取ると、淡々と席に戻った。その表情は無に近く、感情の希薄に乏しい。そんな印象を受ける。  しかし、ヨゼは内心で、心躍るような感覚を覚えていた。ここからだ。ここから始まるのだ。  卒業後の予定は、決まっている。  エコシステム。主に生態系を調査する組織に、ヨゼは属することになっている。
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