第七話

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 「生物の分布図にズレ……。なるほど。調査結果が正確ではなくなる可能性があるな」  「はい。また、この仮説が正しければデクノ・カイラの異常にも説明がつきます」  「どうして?」  ステラが訊ねる。  「分布図から外れる、ということは、今までとは違う環境で生きていくということ。今まで通りの生態では環境に適応できないから、生態そのものを変えている可能性がある」  「攻撃的になったり、夜行性の生き物が昼に活動していたり?」  「うん。そんな感じ。普通は適応できず淘汰されると思うけど」  「ふむ。あのデクノ・カイラどもはカプリマグネに遭遇後、磁覚を狂わされていた、ってわけか」  ヨゼは頷く。  「磁覚が狂い、生息地にズレが発生し、そこで生き抜くため適応していった結果、生態そのものに変化が起きた、僕はその可能性があると考えています」  「だが、それはあくまで可能性の話だ。それに、そんなこと言い出したら、今までに起きたイレギュラーは、全部カプリマグネのせいってことにならないか? それだけじゃない。これから起きるイレギュラーな事態も、カプリマグネのせいにできてしまう」
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