第七話

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 「はい。その点も問題です。これから生態を調査する者たちは、見極めなくてはなりません。カプリマグネによって磁覚を狂わされたのか、それ以外の原因、例えば縄張り争いなどでイレギュラーな事態が起きているのかを」  「それは……」  それを判断することは、とても難しいことだ。ヨーデルはそう感じた。そして一抹の不安を感じた。それは、これからモンスターの生態を調査する者たちが、原因不明な事態を全てカプリマグネのせいにして、ぞんざいな調査ばかりするかもしれない、ということだ。  もし、他の原因があり、それに気づいてなかっただけだった場合、調査は間違った方向へと進む。それが積み重なり、最終的には致命的な、手遅れなミスに繋がるかもしれない。下手をすればモンスターの危機に気づかず、避難が遅れる事態も考えられる。そうなれば、そこに住む人々は全滅する。ヨーデルは背筋が凍えるような感覚に襲われた。  ヨゼが口を開く。  「一番の問題は、カプリマグネをどうするか、ということです。組織を統轄するユニオンはカプリマグネの養殖を検討していたようですけど、これはほぼ不可能でしょう」  「そう、だな」  磁場を整えるために各地を移動するモンスター。そして移動できないとストレスで死ぬ。この二つの点から考えて、養殖が不可能なのは明白だ。
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