第七話

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 「そして、磁場の乱れを正す力、モンスターの生態をも変えてしまうかもしれない力。それを持つカプリマグネは、討伐するべきか、ユニオンでは問題になるでしょう」  「そうなの?」  「ええ。絶滅させるべきと考える者と、保護するべきと考える者が現れるから。そうだな?」  「はい。生態を狂わせる力、それがある限り、モンスターの生態を調査しようとしても、上手くいかないことが考えられます。モンスターの生態を完璧に調べるためには、カプリマグネを滅ぼすしかない」  「だが、そうなると磁場の乱れを正す生物がいなくなる」  「はい。磁場の乱れが悪化し続けたとき、星全体にどんな影響を及ぼすか。まだ誰にもわからないことです」  「磁場の乱れで環境が変わるなんて可能性、考えたこともなかったからな」  「極端な話、人間の都合を考えるなら、カプリマグネの絶滅。星全体の都合を考えるなら、カプリマグネの保護、ってことだよね。難しい話だね。ユニオンはどう判断するかな?」  「さあ、ね。報告は、以上です」  「そうか……」  上の判断しだいで、この世界は大きく変わるだろう。絶滅か、保護か、人類はこの問題にどう対応するのか。ヨーデルは、人類の未来がこれからどうなるか、不安で仕方なかった。
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