目覚め ★

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 二人揃ってベッドに沈み、お互いの顔を引き寄せ合うように唇を重ねた。舌を絡めながら漏れてくる大江の吐息が艶やかで、聞いているだけで下腹部に熱が集まる。  蓮介はうっとりした顔で口腔の唾液を飲み込んだ。 「……っ、んっ」  大江の唇が口端から溢れた唾液を追いかけてすくう。音を立てて頬を吸われ、続けざまに目尻や額にキスが落とされる。大江が体をずらすたびにお互いの雄が擦れ、それがまた蓮介の欲を強くした。 「鬼の唾液には催淫効果でもあるのか? 体が熱い」 「そんな効果はない」 「本当か? キスだけでこんなに焦れる……」 「興奮してるんだ。俺も焦れてる」  大江が着ていたシャツを床に落とした。  蓮介も脱ごうと体を起こす。 「手伝う」  大人しく顎をあげると、今度は顎先に唇を押し当てられた。シャツの裾から入ってきた熱い手が脇腹を撫でる。親指が両胸の尖りを掠め、蓮介自らシャツをたくし上げた。 「ふっ、心臓の音がすごいな」 「そういうことは、言わなくていい……」  口角をあげた大江の唇が薄く色づいた先端を食む。 「ん……っ」  胸は性感帯ではないが、執拗に弄られると誘発されるように体が熱くなった。  きつくなっていたズボンも脱ぎ、大江の両腿を跨いで座る。胸元の高さに来る頭を抱きしめれば、今にも弾けそうな下肢の膨らみを美しい筋肉が浮かぶ腹に押しつける恰好になった。 「あ……、は、ぁ……」  下から揺すられると、弱い刺激を拾おうと快感に貪欲になる。 「ん……、ぁ、っ、……っ、んん……!」  胸を愛撫されながら大江の腹で自慰を続け、蓮介は呆気なく下着の中に白濁を吐き出した。  大江の頭にしな垂れかかっていると、臀部が露出するよう汚した下着をずらされる。性器から白濁の糸が引いていた。尻のあわいにその残滓を擦りつけられる。  下から迎えにきた唇に唇を重ねる。角度を変え、啄むように唇を吸っていると隙を見て大江の指が蓮介の窄まりに潜り込んだ。 「ぁ……っ」  襞を拡げるように指の腹で丁寧に後孔の縁を撫でられる。大江を受け入れる準備をしているだけなのに気持ちいい。足の力が抜け、両膝が開いてしまいそうになるのを踏ん張って堪えた。 「は……、ぁ、……っ」  大江の額に唇を押しつけ、あの夜、角が生えていた髪の生え際あたりを舐める。大江の動揺が伝わってきても止めなかった。 「っ、おい……っ」 「聞いた。角が弱いと」  後ろを解されながら夢中で角の場所を舐め続けていると、舌先に固く滑らかなものが触れた。それに舌を這わせ、唇を窄めてちゅっと吸う。 「……っ」  触れられるだけでも感じるのか、大江は蓮介の首元で荒い呼吸を繰り返している。その反応が可愛くて、蓮介の方が角に夢中になっていた。 「あのな……っ」  余裕のない表情に心臓が早鐘を打つ。 「鬼の角を舐めたんだ。覚悟はできてるんだろうな?」 「え、うわ……っ」  後孔を嬲っていた指を三本とも引き抜かれ、視界が反転した。今、大江の前で両足を開き、恥部のすべてを晒している。 「ぁ……、……っ」  欲を孕んだ大江の目に喉が鳴った。  一度欲を放出したはずの性器は、再び膨らんで汗ばむ腹に涎を零している。  泥濘に猛りの切っ先を添えられると、蓮介の後孔は先端を啄みながら大江が挿ってくるのを今か今かと期待した。 「覚悟は、できてる……。どうすればこの先も君と生きていけるか、聞いた」 「聞いた? 誰に?」  蓮介は大江の頬に手を伸ばした。  誰とは答えなかった。  蟀谷に触れるとしっとり汗ばんでいるのがわかる。  大江は蓮介の腰を掴み、ぐっと泥濘の中へ腰を進めた。 「くっ……あ……っ、ぁ……っ!」  蕩けるほど慣らしていても、大江のすべてを納めた直後は深い圧迫感で腹が苦しい。それでも、少しでも体を揺すられると理性が焼き切れそうになる。  蓮介は大江の肩にしがみつき、浅い呼吸を繰り返した。 「……はぁ……、大丈夫か?」 「ん……」  目を瞑ったままコクコク頭を振る。耳元で聞こえてくる息遣いは熱っぽく、大江は蓮介のペースに合わせ堪えてくれているようだった。  気遣う眼差しと目が合う。  抱きしめられ、耳に掠れた声が吹き込まれた。 「蓮介」 「……っ!」  愛しそうに名前を呼ばれ、蓮介の全身が反応した。  肌がカッと熱くなり、中は歓喜したようにうねって大江を求めはじめる。 「っ、中、どうした? 本当に大丈夫か?」 「ぁ…っ、どう…って……」  遠慮がちに腰を引かれる快感を、もはや性器になりかけた器官は余すことなく拾った。引き抜かれるのが切なくて、蓮介の体は大江を引き留めようと啼く。 「っ、……ひ…ぅ、あ……、っ」  早く、早く大江が欲しい。 「もう、してくれ……、君ので、早く……っ」  次第に律動が始まり、蓮介は大江の肩に爪を立てて体を捩らせた。 「大江く……っ、大江、んん…っ」  名前を呼ぶとキスがおりてくる。徐々に余裕がなくなっていく腰の動きと乱れた呼吸が、大江も感じてくれているのだと教えてくれた。嬉しい……。 「んっ、……い、い……っ」  大江の切っ先が悦いところに嵌ると強烈な快感に襲われた。無意識に体が強張り、今度はそれを宥めるように性器を擦られる。擦られながら何度も中を穿たれる。 「っ、両方は無理だ……っ、ホントに、っ、ああっ」 「ここが無理なら、どこが悦いか教えてくれ」  繋がったまま体位を変えられ、大江の腹に跨がる恰好になった。下から深く貫かれ、一瞬視界が白んだ。 「っ、ああっ、……っ!」  騎乗位のまま、大江に覆い被さるように抱きつく。 「そこっ……、ぁあ……、ふっ、っ……ぅ…っ」 「蓮介……」  名前を呼ばれるたび、間違いなく自分自身が愛されているとわかって胸が喘ぐ。  もう二度と大江と離れたくない。蓮介は二人の間に隙間がなくなるほど、大江の逞しい体にしがみついた。 「っ……好きだ、……君が好きだ……っ」 「ああ」 「大江くん……っ、ッ、ああっ……っ!」  最奥まで届く突き上げに堪えきれなかった嬌声が溢れた。 「ああ、もう離れない」  鼻の奥がツンと痛む。  蓮介は堪らなくなって夢中でキスを求めた。 「あんたが好きだ」  呼吸の合間にそう囁かれる。胸が震え、何度も頷きながら限界までせり上がった射精感に身を委ねた。  二人が息を詰めたのはほぼ同時だった。一際強く抱きしめられ、体の深いところに熱い飛沫を感じた。
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