ユリエ郊外

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「…つまるところ簡潔にまとめるなら、ユリエの右京区の金緑坊をクバルツァロンの使者や従者に下賜するから、こちらで勝手に調えてユリエ入りし、そこで次の沙汰を待て?そういう事なのね??」 ジーリョはイライラした様子を隠さなかった。使者はあくまでも礼儀正しく首を垂れる ジーリョの気持ちもわからなくはない。この結論に至るまで、使者は慇懃に長々と他国の王族に対する挨拶を述べ、まわりくどく遠回しに遠回しにクバルツァロン使者団の滞在場所について説明していたからだ カーバインはジーリョを制して声を張った 「サジラウ皇家の過分な温情いたみいる。早速従者達をユリエ入りさせ金緑坊を見分し、人を手配してクバルツァロン分領として調えよう」  カーバインの言葉でジーリョも我に返りいつものすました慇懃な笑みを取り戻す 「1日も早く、花の都ユリエに入りたいと心急くあまり言葉が過ぎたようだわ。許していただけるかしら」 「姫様におきましては何も謝られる様な事はございません。わたくしの様な一介の使者に。しかしながら、もし許されるのであれば、もう一人使者が参っております。その者をこちらに呼んでもよろしゅうございますか」 「勿論ですとも」 こちらに向かってきていた使者は二人。なのにここにいるのは一人。カーバインもそれは気になっていた
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