ユリエ郊外

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「父の、ミメッカ8世の無礼をお許しください」 ミメッカ9世はだいぶくだけた様子で口火を切った 「父は、正直、まだ皇帝への執念を捨ててはおりません。国内世論も次期皇帝は若い世代に…という流れなのですが、それが余計に父を意固地にしているようで」 「お父様は確か40代でらっしゃる?」 「そう。47歳です。うちの家系でいうなら、私の姉のプジアが従兄弟のウルクマンダ16世と結婚しておりますので、今のところプジアかウルクマンダが次期皇位に一番近い存在です。…サジラウ皇家では、既婚者か、少なくとも婚約者がいないと皇位継承の資格がないので」 「男女問わず、なんでしょうか?その、結婚の条件は?」 さほど事情に明るくないカーバインが口を開く 「男女問わずですね。実際長い歴史の中何人もの女帝も即位していますが、皆結婚してからの即位ですし。男の皇帝も、皆即位前に結婚しています…という訳でというのも変な話ですが、金緑にクバルツァロンの館が出来上がるまで、よろしければ私の離宮にいらっしゃいませんか?というお誘いにまいったのですよ。幸い右京区のさほど遠くない場所に私の別邸がありましてね。広くはないですが、この宿よりは快適だと思います」 「それはありがとうございます。でもよろしいんですの?その、お父上の…」
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