碧玉宮と金緑坊

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ミメッカ9世の誘いに乗る事にした一行は、早速荷をまとめてユリエ入りする事になった。もとよりすぐに移動するつもりだった事もあり、荷を開き切っていなかった為行動は速やかだった。とりあえず側近たちと近衛兵だけ連れて先発する 宿を出て少し進むと南大門だ 南大門は屋根付きの巨大な建造物で全ての扉が大きく開かれているが、よく見るとその全ての扉に見張りの衛兵がいて行き来するものをチェックしている 南大門を抜けると正面遠くに皇城エリアが見える。南大門と皇城の正門である皇嘉門とを直線で結ぶ巨大な直線道路が嘉門大路だ。大路を挟んで左側を右京区、右側を左京区と呼ぶ この地理に関しては事前準備で知ってはいたが、実際来てみると規模の大きさと作りの豪華さに目を奪われてしまう よく踏み固められ、掃き清められた大路は美しく、各坊を区切るように路地や水路が張り巡らしてある あらかじめ計画して作られた都市であることは明白だった 「さすがサジラウ帝国に名高いユリエの都。隅々まで洗練されていますね」 「この辺りは下町で、下々のものの住処があったり、生鮮品の市があったりします。もう少し進むと職人街と細工物や反物などの市あるエリアですね」 ジーリョ姫の馬車に並んでミメッカ9世が馬を進める 「貴族の中には郊外に居を構えてユリエの外より出廷する者もおります。ユリエの都の各坊は、ユリエが作られた時から使用目的が定められていて、坊内の改築、改装は認められても使用目的を変える事は出来ません。金緑坊はユリエを本拠地にしない高位貴族の為の宿坊で、以前クバルツァロンの王族の方も使用していた事のある場所になります」 「改装の為の設計家や、工事をしてもらう人足を紹介していただく事は可能かしら?」 「それは勿論。今日中に、そちらへと向かわせますね」
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