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一行は一旦金緑坊へと向かった。豪奢な皇嘉門を左に曲がり春金条大路を進む。春金条大路より北は全て貴族の居住区という事で、それぞれに大きく美しい建物が建っていた。金緑坊は西の金門に近く、西の城壁の隣で春金条大路から一本北側の区画だった
「もし、これからもクバルツァロンからの客人が増えるような場合、金門外の地区に使用人用の宿舎を用意する事も出来ます」
「お心遣い感謝いたします。それに、金緑坊は本当にクバルツァロンのようですね。少し手を入れればそのまま使えそうです。勿論調度は入れ替えますが」
カーバインがそう口にした通り、金緑坊はクバルツァロン風のしつらえになっている区画だった。木と漆喰がメインの建材で、それにソリのある屋根が乗り、床下を設けないユリエ風の建物とは違い、石積みの、天井にアーチのある独特な建物だ
クバルツァロンでは王侯貴族の館や政治向きの用途の建物は、外はシンプルだが内側を広く取った造りになっていて基本的にはひんやりとした石か煉瓦造りである。また下々の建物は全く趣きが違う。床下を高く取り、木と竹を組んだ壁や扉、植物の葉を葺いた屋根。風通しがよく涼しい。ユリエはクバルより寒いからか、木造の建物も壁には漆喰や煉瓦を使用していた
実際思ったよりも手入れされていて、馬小屋に飼い葉まで用意されていたので、宿で屋外に居たメンバーはここをそのまま使用する事になった。おいおい手を入れていくとしても当座の用には全く問題なかった
メインの小宮の方は大幅に内装を変えたいというジーリョの意見もあり、やはりカーバインとジーリョはミメッカ9世の離宮へ、側近だけ連れて入る事になった
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