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例大祭の年には必ず新しい皇帝が即位する事になっている
しかし次期皇帝はまだ決まっていない
サジラウ帝国の皇位継承は独特で、他国民にはよくわからないが、長子継承でも男子継承でもないし今現在次の皇位が約束された者もいない
「だからこそ、今だと思いませんか?」
そう進言したジーリョ姫の口元は不敵に笑っていた
ここ数年の執政に深く関与してきた、有能なジーリョ姫をユリエに送るのは惜しい。しかし、このままジーリョ姫がクバルツァロンの内政を牛耳るのは危険でもあった
ジーリョ姫は王太子の求婚を何年も前に断ったため、王太子は既に別な女性を王太子妃として迎えている
だが臣民の中には王太子とは別な王子をジーリョ姫と娶せて、そちらを次期国王にと考える者もあらわれてきている。王としてもジーリョ姫を是非次期王妃にしたかった。ジーリョ姫をと強く王太子に推したのも王だったし、ジーリョ姫にも姫の目鏡に適った者を立太子してもよい、と持ちかけたし、ジーリョ姫が自分の息子だったら、と何度となく願った。賢く、先見の明を持つジーリョ姫
彼女のおかげで王の治世は安泰であったし、クバルツァロンは益々栄えた
だが一介の未婚の姫が持つには、彼女の権力と影響力は大きくなりすぎた。しかし、クバルツァロンは男系の為ジーリョ姫が女王になることは出来ない。王が持ちかけた「好ましい縁談」は全て姫自身によって蹴られている
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