ユリエの春

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しばらく協議した結果、クバルツァロン王はジーリョ姫の進言を受け入れた 「私の秘書と部下達は陛下に全て残していきます」 ジーリョ姫が抜けた穴は、それで埋められるだろうと姫は言った。それを聞いてホッとしたのも本当だ。ジーリョ姫は現在では実質文官のトップに等しく、その権限は歴代の宰相を凌いでいたからだ。姫の第一秘書は公爵家次男。優秀でジーリョ姫の腹心と噂される男なので実績も実力もある。時を見て彼を宰相にすれば今後の政治も安心だろう 「その代わり、カーバイン王子と、その近衛兵を連れて行っても良いでしょうか?」 カーバイン王子は王の直系ではあるが、母が賤しい身分の為立場が微妙な王子だ。しかし現王の認めた王子ではあるので、使者として向かえばサジラウ皇家への面目も立つ。更にカーバイン王子がサジラウ皇家に婿入りするならそれは両国にとって願ってもない良縁となろう 「勿論だとも。それから、サジラウ皇帝への手紙を書くのと、持っていく祝いの品の目録作りには付き合ってもらえるのかな」 「喜んでお手伝いさせていただきます」
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