ユリエの春

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そうして一行はクバルを出てサジラウ帝国ユリエを目指した 祝いの品は数回に分けて別便でとどく。カーバイン王子とジーリョ姫が持参したのは公式の祝いの手紙と、各皇族宛の親書や嵩張らない宝石、細工物の類だった 安全な陸路を選んでゆっくりと進んできた為半年かかったが、クバルツァロンの首都クバルからユリエまでは途中船を使いショートカットすれば2カ月かからない。また、クバルツァロン領の端からユリエまでならもっと近い 王子と姫の一行は、寄れる限り全ての荘園や地方領主の館を訪ねたし、あちこちでお金を落として、米と鶏を中心にした作物を先物買いして後日ユリエまで届ける手配をしてきたのだ   ユリエは元々人口の多い都市で、その例大祭ともなれば更に人口は膨れ上がる。ユリエ近郊は冷涼な為、米より麦や芋の栽培が盛んだ。なので贈り物としては単価が高い高級品より安価でも量の多い食料をメインにした方がいい、というのがジーリョ姫の考えだった その約半年の旅も今、ユリエを前にして終わりを迎えようとしていた
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