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欲しい物をくれてやる。何が望みだ?
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いち早く違和感を感じ取ったのは雅だった。
「あれ?何か鷹司さん、いつもと違う⋯⋯よね?」
雅は首を傾げながら伊織の顔を見詰める。ややあってポンっと手を合わせ、弾んだ声を出した。
「そっかメガネだ!メガネが違うんだ!」
指摘された伊織は瑣末な事の様にブリッジを人差し指で上げた。
「よく気付きましたね?」
「いつものメガネは?壊れちゃったの?」
伊織に褒められ、少し照れ臭そうにはにかみながら雅が聞いた。
「壊れてはいませんが⋯⋯気分転換です」
どちらもガンメタだが、オーバル型からアンダーリム型に変えただけで、伊織の印象が全く違う。いつもは眼光の鋭さを抑えているが、今日は全く隠そうとしていない。
「いつもよりちょっと怖⋯⋯見慣れないけど、そのメガネも似合ってマス」
「棒読み感しかないですよ?」
「そ、そんなこと⋯⋯」
「さぁ、卵を上手に割る練習続けますよ?早くお手伝いが出来る様になりたいんですよね?」
伊織に促されて雅は今日の目的を思い出した。雅は大きな野望があり、その為に卵の殻を入れる事なく割れる様に練習をしているのだ。
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