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「人前であんな表情をされるのは頂けません」 仄かに灯る間接照明が濃厚な夜に華を添えている室内で、一人ごちた伊織への応えはなく、ただ振動音と衣擦れの音がまるで漣の様に波打っていた。媚びるように蠢く肢体を伊織は口角を上げながら見下ろしている。 枕元にシンプルなスタンドライトを点けているのは、万一手許が狂ってしまわぬ様にとの配慮からだ。キズを付けたい訳ではないし、付ける事は許されてもいない。 部屋の隅から調光を絞ったフロアライトの光に映し出されるのは、模造男根に踊らされている神威の姿だ。淫靡に腰を揺らし、歯を食いしばって声を我慢しているが、時折喉の奥から堪え切れない声を漏らしている。 身を上下左右に捩り、玩具によってもたらされる快楽から逃れようと⋯⋯いや、快楽の更なる高みに昇ろうと藻掻いていた。 弱々しい光はベッドの上を跳ねる神威を余すことなく浮かび上げ、伊織を楽しませ続けている。 手錠をかけられた両手はベッドヘッドに固定され、両足はそれぞれ踵と一緒にラバーベルトで括られ大きく拡げていた。
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