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理子
外はぽかぽかいい天気。駅を出て少しだけ早歩きになる。解放された心地良さと、もうすぐあの男に会える期待が足を運ぶ。
「友也くん」
呼びかけると彼が振り向く。
「恵理子」
嬉しそうな顔で私たちの名前を呼んだ。ここにいるのがあの子じゃないなんてまるで気付いていない。だけど仕方がないか。あの子は私、私はあの子。ふたりでひとりだったんだから。
だからこれからは私があの子の代わりに幸せになろうと思う。まずはこの男を消そうか。あの子と同じ場所に行くのなら、きっとこいつもあの子も嬉しいだろう。この先の未来に笑みが溢れる。これからは私だけの未来だ。
「あのね。私のこと、理子って呼んで?」
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