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その次の夜
電車の窓から見る空はどんよりと曇っているのに、私の心は雲一つない快晴そのもの。それは何故かと言うと、祭日の今日はアイツとの接触を心配する必要がないからだ。
気分の良い私は久しぶりに一人で買い物に街に繰り出すところである。別に欲しいものがある訳ではないけど、気晴らしに買い物でもしてみたい気分になったのである。
電車を降りると、取り敢えず私はいつも行く古着屋さんに向かうことに。と、ついさっきまでそう思ったのだけど、何故か急に駅前の噴水のところで休みたい気分になってしまう。
この噴水の周辺は、待ち合わせ場所のメッカ。祭日の今日は昼間っから賑わいを見せている。
気温も暖かくなって来たせいか移動販売のアイスクリームを食べている人も結構いる。それが凄く美味しいそうで私も食べようかなぁ?なんて思ってしまう。
(300円か…よし!)
とばかりに意を決して財布を取り出そうとする私。すると、後ろから聞きたくのない爽やかな声が私の耳に届いてしまう。
「よっ、おはよう!待たせちゃったかな?」
振り向くと、一番会いたくのないアイツがアイスクリームを両手に持って、満面の笑みを私に向けて来ている。
おかしい?私はアイツどころか、誰とも待ち合わせをしていないはずである。
「何で、何で?ここに居るのよ!」
思わず公衆の面前で叫んでしまう。
「これでも食べて、もうちょっと声、抑えて喋ろうか」
アイツは気まずそうに辺りを見回し、そう言って私にアイスクリームを渡して来る。
こんなものと、捨ててしまいたい気分なのに、どうしたんだろう?私はそれに口を付けてしまう。
「気分は収まったかな?それじゃあ、買い物に行こうか」
「どうして?どうして私が買い物に来たって知ってるのよ」
「だって、一昨日約束したじゃないか。今日一緒に買い物に行って映画を見て、そしてその後で…」
私は、その後の言葉が聞きたくなくてアイツの話しを遮る。
「嘘、嘘、嘘、そんな約束なんてしてない!」
「だけど、そう言うストーリーだから従って貰わないと」
「ストーリーって、どう言う事よ…」
「まあ、その内わかるって…」
そう言って、その後の私の問いに対しても、アイツは真面に応えてはくれない。
結局、私はこの後、自分の意思に反して買い物に行き、食事をして映画を見ることに。
それにを不覚にも楽しんでしまっている私がいる。
そして、その後…
「じゃあ、行こうか」
「何処へ?」
「決まってるでじゃない」
そう言って、私の腕を取り強引に歩き出すアイツ。
「待ってよ、何処に行くのよ」
そこで…
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