12.雨上がりのキス

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 雨上がりの空に、うっすらと虹がかかっている。 『一緒にいるときに虹を出せないかって死神に頼んだんだ』  触れられない手を握った日、夕奈にそう話したことが頭に過る。 「……始末書を書く気はないって言ってたのに」  思わず笑った俺は、一緒に虹を眺める夕奈の方にどんどん薄くなる身体を向けた。  この瞬間もあの消えた虹のように、残るだろうか。  愛の言葉はきっと無意味だから、最後に何も言わないよ。  流れた涙に目を伏せた夕奈に、消えていく身体でそっとキスをした。  何も気づいていないきみの、これからの幸せを祈るように。 《終》  最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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