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番外編 カロリーナ目線①
ローウェンとカロリーナはたくさんの祝福を受け結婚式を挙げた。
一夜明け名実ともに夫婦となった二人はとても幸せだった。
カロリーナは学園時代、数名の男子生徒から言い寄られて困っていた。中にはしつこい男子もいたし、好奇な目で見られるのはうんざりだった。
ローウェンのことも他の男子生徒たちと同じだと思い、乱暴な言葉であしらおうとしたが、正直に「剣術に見とれていた」と言われ、なぜか彼には悪い気がしなかった。
自分から名前を名乗り、丁寧な挨拶をしてくれたローウェンに好感を持った。
尊敬する叔母のメリアーヌの元婚約者だった甥ということもあり、カロリーナは親近感を覚えた。
ローウェンは一つ年下だったが、穏やかで優しい雰囲気は大人びていた。
ローウェンの父は第二騎士団の元副団長で、母方の伯父は国王も認める地質学の第一人者、母は奉仕活動に熱心で、慈愛に満ちた聖母のようであると、社交界でも評判が良い。
彼自身も名門伯爵家であることを鼻にかけず、威張らずに低姿勢だった。
同格の侯爵家の令息や学園の他の令息など目に入らない程、ローウェンに惹かれていた。
何よりカロリーナはローウェンの顔が好きだった。
亜麻色の髪に青い瞳、健康的な肌に、細身だが均整のとれた容姿。
カロリーナは侯爵家に帰ると母親に、好きな人が出来たと報告した。
カロリーナの母親は驚いたが、ローウェンの名前を聞くと直ぐに納得した。
ローウェンは彼の伯父レオナルドによく似ていると評判だった。
母親世代の女性にとって、学園時代のレオナルドに憧れていた者は数多く、ローウェンのことは評判になっているようだった。
カロリーナの母親によって、ローウェンのことは父親の侯爵の知ることになった。
侯爵に呼ばれ、
「カロリーナ、ミランジュ伯爵家のローウェン殿の事だが、どう思っている?」
「ローウェン様のことに感心がありますが、まだお付き合いをしていないし、わたくしの気持ちも伝えていません」
カロリーナは父親に伝わるのが早すぎて、戸惑っていた。
「そうか。ローウェン殿は評判もよく人気があるようだが?」
「・・・」
カロリーナは父親に煽られているような気がした。
「あの、もし、もしも、お付き合いするとしても反対はなさらないということですか?」
カロリーナが聞くと侯爵は、
「他の令息なら、反対するかもしれないな。ハハハ」
カロリーナは真っ赤になり小さく頷いた。
「ローウェン殿がカロリーナのことをどう思っているのかは分からないがな。ハハハ」
父親は完全にカロリーナをからかっている。
面白くないカロリーナは頬を膨らませ自室に帰って行った。
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