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番外編 カロリーナ目線③
学園の長期休暇に入りカロリーナはミランジュ伯爵家に招待された。
侯爵家のメイドたちは気合いが入った。
カロリーナのドレスは華美な物ではなく、水色のAラインのオフショルダーのドレスで、腰の少し上の辺りにリボンがあり、横向きにドレープがかかっている。
青い色のレースのショールは髪に編み込んであるリボンと同じ色になっている。
全面がローウェンの瞳の色だった。
ローウェンはドレス姿に見とれ、カロリーナを綺麗だと褒めてくれた。飛び上がるほど嬉しかった。
ローウェンは濃紺のブレザーにズボン、薄いピンクのシャツに、白いクラバットにはアメジストの石がついたピンが着けてあった。
全面にカロリーナの色だった。
紹介されたローウェンの母親のラズリス様は、実母ではないと噂があったがどうでもよかった。
ラズリス様は貴族の女性特有の派手さはなく、清楚で上品な女性だった。
カロリーナは一目でラズリス様に好感を持った。
嫌らしい駆け引きなどが出来る人ではなく、裏表のない信頼出来る人物だと思った。
ローウェンが母親を見る表情や仕草が、母を思いやる息子でしかなかった。
ラズリス様もローウェンを見る表情や仕草に、強く母性を感じる。
なにより、ローウェンの纏っている雰囲気が、ラズリス様そのものであった。
噂は噂。出自はどうであれ、愛情を注いで育てられたことに間違いはないと思った。
カロリーナはラズリス様が義母でよかったと心から思い、馬鹿馬鹿しい噂話を頭から消した。
次期伯爵とか家柄や地位で彼のことを好きになったわけではない。
カロリーナはローウェンがいなくても度々伯爵家を訪れ、ラズリス様と一緒にいるのが楽しくなっていた。
伯爵家に嫁ぐとラズリス様も一緒に暮らせると思っていたが、そうではないと知り残念だったが、転居先に訪れることを楽しみにしていた。
ローウェンが成人し無事に婚約が成立し、結婚はローウェンが学園を卒業してからになったが、一緒に街へ買い物に出たり、色々な所に出かけ婚約期間中は二人で充分に楽しんだ。
待ちに待った結婚式は、カロリーナが今まで生きてきた中で一番幸せな日だった。
周りの人たちは想像以上に祝福され、お祖父様のジーンの記憶が戻り、すべてが輝いて見えた日だった。
お祖父様のジーンが亡くなったのを聞いた時は、もっとお話をしたかったし、葬儀の手伝いにも行けず残念だったが、妊娠していることに気づき、複雑な気持ちだった。
ローウェンとお義母様のラズリス様はカロリーナの妊娠を心から喜んでくれた。
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