197人が本棚に入れています
本棚に追加
番外編 カロリーナ目線④
もうすぐ子どもが生まれるという時に、おめでたい出来事があった。
義母ラズリス様の再婚だった。
以前から親しくしていた男性から、一年以上も前からプロポーズを受けていたらしい。
周りのことを一番に考えるお義母様らしいと思った。
お義母様の実家であるビューアル子爵家の家族と相談し、サプライズの結婚式を計画し、とても上手くいった。お義母様はとても綺麗だった。
お義母様と男性の幸せを心から祈った。
出産の日が来た。
朝からお腹が張り息苦しかった。
夫のローウェンは普段は落ち着いているのに、びっくりするぐらい心配してオロオロしていた。
あまり心配されるとカロリーナ自身も不安になってくる。
初産にしては軽い方だったらしいが、こんな痛みはもう嫌だ、とカロリーナは強く思った。
赤ちゃんを見て『愛おしい』という感情が初めて芽生えた。
ローウェンは元気なカロリーナと無事に産まれた子の顔を見て、赤ちゃんよりも泣いていた。
ピンク色に近いプラチナブロンドにブルーの瞳の男の子が産まれた。
名前は夫と相談し、レオナルドと名付けた。
これから子育てが始まる。
不安で仕方なかった。
するとお義母様が参考にと、ローウェンが赤ちゃんの頃の子育て日記を見せてくれた。
毎日、丁寧に書いてあった日記には愛情がいっぱい溢れていた。
夫も見るのが初めてらしく、お義母様の一途に子育てする姿が目に浮かんだ。
母親としての責任と愛情の深さを感じた。
『愛されていたんだな』
カロリーナとローウェンは日記を見て泣いていた。
小さなレオナルドと産後のカロリーナは二人とも元気に日々を過ごしていた。
レオナルドはすくすくと成長した。
なんとお義母様は男爵夫人になり、数年後、子どもまで授かった。
幸せの連鎖は続いた。
燐国サージェ王国から叔母のメリアーヌが一時帰国する知らせが入った。
普通王族はなかなか国外に出ることは難しいが、叔母と王子殿下は少し違っているようだった。
再会した叔母は年齢を重ねても美しかった。
指輪ははめておらず、手首に着けてある品の良いブレスレットには、三色の宝石が並んで輝いていた。
「まあ、貴方がレオナルドなの」
「はい。4才です」
「お利口さんだね」
叔母とサージェ王国第三王子殿下のルーメンは、小さなレオナルドを交互に抱き、満面の笑みを浮かべていた。
「まさかレオナルドに会えるとはね」
叔母たちは二人だけにわかるように囁いていた。
「僕、もうすぐお兄様になるんだ」
小さなレオナルドは愛らしい声で、叔母たちに自慢していた。
「まあ、素敵ね」
「レオナルド、大きくなったら、サージェ王国に来るんだよ」
「はいっ」
叔母と王子殿下のルーメンは更に喜んでいた。
ローウェンとカロリーナはレオナルドの後に、女の子の双子を授かり、ミランジュ伯爵領を更に発展させ、祖父ジーンが趣味で始めた王都のレストランも大繁盛。今度はカロリーナの趣味で二号店が出来た。
叔母との約束通り、小さなレオナルドは12才で、サージェ王国に留学する事になった。
ローウェンとカロリーナは順風満帆に幸せに暮らした。
最初のコメントを投稿しよう!