番外編 カロリーナ目線④

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番外編 カロリーナ目線④

 もうすぐ子どもが生まれるという時に、おめでたい出来事があった。  義母ラズリス様の再婚だった。  以前から親しくしていた男性から、一年以上も前からプロポーズを受けていたらしい。  周りのことを一番に考えるお義母様らしいと思った。  お義母様の実家であるビューアル子爵家の家族と相談し、サプライズの結婚式を計画し、とても上手くいった。お義母様はとても綺麗だった。  お義母様と男性の幸せを心から祈った。  出産の日が来た。  朝からお腹が張り息苦しかった。  夫のローウェンは普段は落ち着いているのに、びっくりするぐらい心配してオロオロしていた。  あまり心配されるとカロリーナ自身も不安になってくる。  初産にしては軽い方だったらしいが、こんな痛みはもう嫌だ、とカロリーナは強く思った。  赤ちゃんを見て『愛おしい』という感情が初めて芽生えた。  ローウェンは元気なカロリーナと無事に産まれた子の顔を見て、赤ちゃんよりも泣いていた。  ピンク色に近いプラチナブロンドにブルーの瞳の男の子が産まれた。  名前は夫と相談し、レオナルドと名付けた。  これから子育てが始まる。  不安で仕方なかった。  するとお義母様が参考にと、ローウェンが赤ちゃんの頃の子育て日記を見せてくれた。  毎日、丁寧に書いてあった日記には愛情がいっぱい溢れていた。  夫も見るのが初めてらしく、お義母様の一途に子育てする姿が目に浮かんだ。  母親としての責任と愛情の深さを感じた。 『愛されていたんだな』  カロリーナとローウェンは日記を見て泣いていた。  小さなレオナルドと産後のカロリーナは二人とも元気に日々を過ごしていた。  レオナルドはすくすくと成長した。  なんとお義母様は男爵夫人になり、数年後、子どもまで授かった。  幸せの連鎖は続いた。  燐国サージェ王国から叔母のメリアーヌが一時帰国する知らせが入った。  普通王族はなかなか国外に出ることは難しいが、叔母と王子殿下は少し違っているようだった。  再会した叔母は年齢を重ねても美しかった。  指輪ははめておらず、手首に着けてある品の良いブレスレットには、三色の宝石が並んで輝いていた。 「まあ、貴方がレオナルドなの」 「はい。4才です」 「お利口さんだね」  叔母とサージェ王国第三王子殿下のルーメンは、小さなレオナルドを交互に抱き、満面の笑みを浮かべていた。 「まさかレオナルドに会えるとはね」  叔母たちは二人だけにわかるように囁いていた。 「僕、もうすぐお兄様になるんだ」  小さなレオナルドは愛らしい声で、叔母たちに自慢していた。 「まあ、素敵ね」 「レオナルド、大きくなったら、サージェ王国に来るんだよ」 「はいっ」  叔母と王子殿下のルーメンは更に喜んでいた。  ローウェンとカロリーナはレオナルドの後に、女の子の双子を授かり、ミランジュ伯爵領を更に発展させ、祖父ジーンが趣味で始めた王都のレストランも大繁盛。今度はカロリーナの趣味で二号店が出来た。  叔母との約束通り、小さなレオナルドは12才で、サージェ王国に留学する事になった。  ローウェンとカロリーナは順風満帆に幸せに暮らした。
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