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番外編 侍女マリカの思い②
ビューアル子爵様からお許しいただき、ラズリス様の側にいられることが嬉しかった。
お嬢様の家には通いでもいいと思っていたが、作業場兼家族の住む所も増設していただけるようで、子どもたちも一緒に暮らせることになった。
庭師の夫オリバーは、子爵様のお心使いに感謝し、お嬢様のためなら何でも出来るようにと、料理を習うことにしたらしく、日々励んでいた。
新居には料理人や他のメイドや使用人も数人いるが、通いで交代制な為、オリバーは簡単な料理や軽食、お菓子などもお出し出来るようにしたかったようだ。
庭の手入れが思うようにいかず、お嬢様の知り合いのロベルト様がお手伝いに来てくれるようになったが、マリカは彼に少し嫉妬していた。
お嬢様を盗られるような気持ちになった。
ロベルト様は寡黙だが優しく、私の家族にも親切でいい人だと思うようになり、お嬢様の伴侶になるべく人なのかもしれないと考え直した。
ロベルト様とお嬢様はお互いに想い合っているようすだが、お付き合いしているのではないようだった。マリカはヤキモキしていたが、それを口に出すことはなかった。
やっと、お嬢様はロベルト様と一緒に暮らすことになり、マリカは何よりも嬉しかった。お嬢様にはこの先、幸せしかない人生を歩んで欲しかった。
サプライズの結婚式で、自分の結婚式で使ったレースのベールを、お嬢様にかけてさしあげた時は、感動で震えていた。
奥様のミシェル様に言われた時は、最初は辞退したが、是非にと言われ、嬉しさに言葉が出なかった。お嬢様はまるで女神様のように美しかった。
このままずっとお嬢様と暮らしていけると思っていたが、男爵夫人になると言われた時は、
腰が抜けたかと思うほどガッカリしたが、王都に来る時に滞在されるらしく、お仕え出来ることを喜んだ。
お嬢様は赤ちゃんを授かり、私と子どもたちは、お世話に張り切っていた。
お嬢様の家で家族で賑やかな王都の家は、幸せな声で溢れていた。
私の子どもたちも、このままドーレ男爵様とご家族にお仕えするべく、勉強に励んでいる。
長男は庭師に、長女は侍女を目指している。
お嬢様は幸せそうな笑顔で日々を送っている。ロベルト様も幸せそうだった。
マリカは、これ以上の幸せはないだろうと、深く思いながら、毎日が楽しくて仕方なかった。
庭の四阿から見る景色は、木々の緑が眩しく輝き、遠くに見える王城は、屋根の青い部分が、太陽の光に照らされ際立ち、白い壁とのコントラストが美しく、街並みは陽炎で揺れていた。
もうすぐ夏が来る。
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