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番外編 ロペスの苦悩②
やがてローウェンは大きくなり、彼の出生に関わるの重要な事を伝えることになった。
ローウェンが他人から尾ひれの就いた噂話に翻弄される姿を見たくなかったので、自分から伝えるのが祖父としての役割だと感じていた。
ロペスがローウェンを孫だと思う気持ちは偽りのない本心だった。
父親のバルト様が亡くなったばかりで、更に心労を重ねることになるが、いつかはラズリスの実子ではないことを知らせないといけないと思っていた。
ローウェンの心の変化を心配していたが、今までと変わりのない態度にロペスは安心した。
事実を彼に伝えてよかった。
平穏な日々は束の間で。
娘に寄り添う一人の男が現れた。
平民のようだ。
身分はともかく娘が好きならば認めようと思うが。
また悶々とした日々が続いた。
娘が連れて来た男は、先代子爵、自分の両親の恩人の息子だった。
大きな溜め息が出た。胸の中の重たい空気が一気に出た。
非の打ち所のない彼の態度。
ああ、やっぱり娘の事は自分の思い描いていた通りにはならないのか。
今まで見たことのない幸せそうな娘の顔を見て、ロペスは娘に対する自分の願望を手放した。
男爵の爵位を復活させた、義理の息子のロベルトは娘のことを大切にしてくれている。
二人には子どもができ、幸せに満ち溢れた生活を送っている。
いつ見ても幸せそうな二人を見ていると、嫉妬と羨望、安堵の入り交じった感情に翻弄される。
親として娘にしてやれることは無くなった。
子爵領に戻り愛する妻のミシェルと穏やかな生活を送ろう。
ロペスは子爵領の本邸に居着いた小さな仔犬に夢中になり、愛情を注ぎ、最愛のミシェルとともに穏やかな老後を楽しんでいた。
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