君だけが頼りなのだ

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 ニコラは、最近、大立ち回りの末、メイドのミアと結婚したばかりだ。  新婚の妻が待つ家に早く帰るため、今まで甘く接していた王子たちへの当たりはかなり厳しくなった。  リリアムは騎士の仕事をしているときは、女性の味方、無礼者の敵だ。王子たちが羽目を外すつもりならば率先してそれを諫めていく。それ故に女性からの信頼が厚い。王子たちの風紀は二人によって厳しく守られたのだろう。 「ねぇ、そろそろ試してみませんか?」  リリアムはグリアの隣に座るとグリアの股間を撫で続ける。 「いや、今日は薬を飲んでいるので勃たない」 「出し惜しみしないで先輩の凄いところ見せてくださいよ! 薬を飲まなければ勃つんでしょ?」  ウィリアムに娘を押し付けられそうになったにもかかわらず、グリアはリリアムとの遊びを止める選択肢を選ぼうとは思わなかった。何なら、もう少しだけこの関係を続けたいような気にさえなった。 「まぁ、お前なら後腐れがなさそうではあるな。一応、もう少し広げておくか」 「望むところです! がんばりますよ」 「喜ぶかと思って、さっきの茶葉を利尿作用の強いものにしておいた。タオルは多めに用意しろ」  リリアムは、自分が飲んでいたお茶とグリアの顔を交互にみてから、残りを一気に呷り、グリアに飛びついた。 「ただいま、せんぱぁい!!」  *  持ちつ持たれつの関係は、今では良好と呼べるくらいだ。  グリアはリリアムに武器の改良の意見なども尋ねるようになったし、一緒に出かけて調査などもするようになった。  面倒な関係のないまま、性欲も発散できるし、お互いに相手から欲しい物だけを奪い合う健全な関係性を保っている。  リリアムは朝から警備として王宮の深いところに配属されていた。近衛のいる場所から離れたところで、ずっと立っているだけの仕事は肩が凝る。  昼頃に解放されたものの、食堂が込み合っていて席がなかったので、持ち出しの食事をもらって部室に帰ってきた。 「先輩、来客が帰ったから休憩取れたんですけど、一緒に食べません? あれ、いないの?」  グリアは技術振興部の部屋にはいなかった。机を見ると、書きかけの手紙が置いてある。  リリアムは自分への仕事の指示の手紙だと判断して、勝手に読んでみる。
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