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揺さぶりをかけてみようかと、器具を支えて動けずにいるその横顔にキスをしてみる。
あんな情熱的な手紙を書くぐらいだ、気があるのなら、それなりの反応が引き出せるのではないかと期待した。
しかし、グリアはいつものように眉のひとつも動かさない。
「今は盛るな。邪魔だ」
「先輩以外の相手と遊んでくるっていってるんですよ、止めないんですか?」
甘えるように首に手をまわして鼻をこすりつけてみるが、払いのけられた。
「外で遊んでくるなら俺には関係ないだろう。勝手にしろ。俺が注意しろと言われているのは城の中のことだけだ」
手紙の内容がリリアム宛だったとしたら、グリアは痩せ我慢してリリアムを遊びに行かせるのだ。今のところ、それらしい様子は全く見られない。
あまりにもそっけないグリアに、リリアムは抗議の声を上げた。
「いや、そこは止めてくださいよ! 先輩は私に何の愛着もないんですか?」
「面倒を言うな。俺は今、忙しい。上から三段目の引き出しを開けろ、そこに銭入れがある。今日はもう退勤してかまわない。小遣いをやるから、花街にでも行ってこい」
グリアはそれ以上本当に止めもしなければ、リリアムの遊びを話題にも出さなかった。黙々と自分の仕事に精を出す。
リリアムは執着されるのは苦手なはずなのに、グリアに捨て置かれて少ししょんぼりとした。
やっぱり、手紙に書いてあったのは勘違いだったのだろうと、あきらめて繁華街に向かう。
夕方になって、屋台の灯りと匂いが食欲をそそる。ランプ石は一般の屋台に設置するには値が張るから、松明を灯したり、ランタンを並べたりして客を呼び込む。
今日は、聴き込みの時に知り合った酒場の女の子と逢い引きの約束をしてある。
抱くなら男より女の方が柔らかくていい。避妊云々を考えると男は面倒だ。
酒場の給仕をしている娘は、リリアムとの遊びに乗り気で、女性との遊びを経験してみたいと持ち掛けられた。
一夜限りということで、久しぶりに女を抱く流れになった。
グリアに色々されて技術は上がっている。試したいこともあるし、それなりに盛り上がるだろう。
呼び出された酒屋の二階の部屋には、目印の花飾りが扉にかけられている。
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