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メイドを優しく見送ると、グリアが持ってくるようにと言っていた本を本棚から探しだす。
二十冊以上もある長いリストをあっという間に探し出したリリアムは、驚きのバランスで本を積み上げ、司書官の女性に秋波を飛ばしながら、軽々と部室まで運んでいく。
リリアムが黒魔術隊に貢献できるのは今のところ力仕事くらいだ。
背中で聞こえた司書官のため息にいい気分になって、少し後ろを振り返るのも忘れない。
(寸止めされて、ムラムラする……)
性的な遊びが未遂で終わることばかりで、リリアムは腐っていた。
存分に剣を振り回して、正義を施行する任務なら発散できるのに、リリアムが呼ばれる仕事は警護や護衛ばかりだ。本来、リリアムは悪者を蹴ったり斬ったりの仕事がしたいのだ。
塔のように積まれた本の整理をしながら、グリアに愚痴を聞かせるくらいしか発散のしようがない。
「先輩きいてますか? 訓練があれば剣でも振り回して発散させますけど、こっちに移ってきてからは訓練にも参加できないし。体力も性欲も持て余しているんですよね。私に悪さをさせたくないなら、先輩が相手してくださいよ」
グリアは、ぶつぶつ言いながらもてきぱきと雑用を片付けていくリリアムに、棒切れか何かを見るような視線を送る。
リリアムだって本気で相手にしろと言ったわけではなかった。
ニコラには騎士に手を出すなと念を押されている。ただ、少し慌てるグリアでも見られないかと、困らせるようなことを言ってみただけなのだ。
「わかった、休憩にする。布を持って来る。下を脱いで準備をしておけよ」
「え?」
グリアが何を言ったのか理解するまで、しばらく間が空いた。
リリアムは驚いて、持っていた本を強く握る。
「ほ、本当に? 本当にいいんですか?」
「俺は忙しい、さっさと準備してくれ」
グリアは、洗濯室に行ってくると言うと、さっさと部室を出ていってしまった。
リリアムは肉の種類には頓着しない。
ちゃんと調理して出されたら、ドブネズミでも親の肉でもありがたがって食べることを信条にしていた。
据え膳が、冷え冷えとした目で自分を見る上司でも、特に何の問題もない。
「ほほう。先輩、話が早い! いいじゃないですか、いいじゃないですか!」
リリアムはいそいそと手洗いを済ませ、口まで漱いで、下着を脱ぎ、わくわくと待つ。
騎士服の上着は丈が長く作られているので、形の良い裸の脚が丸見えだ。
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