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データ入力のアルバイトは、パソコンを使って作業する。
パソコンは学校の授業で使ったぐらいだったが、段々と慣れていった。
黙って作業するので、気楽でいい。
データ入力の件数が多ければ多いほど給料が上がる仕組み。
俺は最初少なかったが、あっという間にトップになった。
どうやら俺には入力の才能があったらしい。
「高野君って、すごいね」
休憩時間に、女性が話しかけてきた。
美しい長い黒髪の女性だ。
俺と同い年か少し年上ぐらいだろうか。
「い、いえ。そんなことないですよ」
「私なんか全然だよー。なんかコツとかあるのかな?」
「え、えーっと……画面を見ながらタイピングすれば早くなりますよ」
「私、キーボード見ながらじゃないと打てないよー」
女性は肩を落として落ち込んだ。
「慣れれば大丈夫ですよ」
「うん、がんばるね。ありがとう高野君」
「いえいえ、どういたしまして。えーと……」
「私は鈴原だよ」
「鈴原さん、お互い頑張りましょう」
「うん、えいえいおーだね」
鈴原さんは小さくえいえいおーしてから、職場へ戻っていく。
緊張したけど、なんとか話せた。
なんだ、ちゃんと会話出来たじゃないか。
鈴原さんは話しやすくて、面白い女性だった。
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