白い世界とシロ

17/24
前へ
/24ページ
次へ
アルバイト終了後、鈴原さんと来たのはアルバイト先の近くにあるファミレス。 ここまで来る途中、数人のグループとすれ違ったけど、鈴原さんと一緒だったからドキドキが軽減された。 ファミレスに入ると、店内の温かい照明が心を落ち着かせてくれる。 まだ17時過ぎだからか、客は少ない。 鈴原さんと向かい合って席に座り、メニューを開く。 「何にしようかなー」 鈴原さんは、目を輝かせながらメニューを見ている。 まるで宝の地図を見ている子供のようだ。 「高野君、好きなの注文していいよ。今日は給料日だから、お姉さんが奢るよ」 そういえば、今日は給料日だった。 だから夕食に誘ってくれたのか。 お互い注文が決まったので、鈴原さんが店員を呼んで注文してくれた。 話をしながら待っていると、料理が運ばれてくる。 俺はチーズハンバーグセット、鈴原さんはオムライス。 「では、ごゆっくりどうぞ」 店員は一礼して去っていった。 「おいしそー。それじゃ食べよっか」 「そうですね」 「いただきまーす」 「いただきます」 外食なんて何年ぶりだろうか。 箸でハンバーグを切り、チーズをたっぷり乗せてから食べた。 口の中で、幸せが広がっていく。 鈴原さんもオムライスを食べて、笑みがこぼれている。 「子供に戻った気分になるよねー」 「そうですね。すごく美味しいです」 鈴原さんが二口目を食べた後、スプーンを置いて、自身のことを話し始めた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加