白い世界とシロ

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先生が休みで自習になった。 今日は、ぼくと田中さんが日直だったから二人で自習プリントを配っていく。 ぼくのことを笑っていた男の子の岩井君にプリントをわたすと、いやそうな顔をした。 「うわぁ、高野からもらったプリントきったねぇ!田中ー!お前のプリントくれよ!」 岩井君は大きい声で田中さんに言った。 「はいっ」 田中さんはこっちに来て、持っていたプリントを岩井君にわたす。 岩井君は、ぼくがわたしたプリントを指でつまみながら田中さんにわたした。 まるで、きたないものをさわっているみたいだ。 それを見て、クラスのみんなは笑っている。 ぼくは、みんなに合わせて少しだけ笑う。 この日から、ぼくがさわったものは、きたないと言われるようになった。
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