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それなのに、混乱のあまりどうでもいいことを聞いてしまった。
「アプリはアンインストールするよ。るるかとチャットルームで会話してても、たまに会話が噛み合わないことがあるんだ。そういうとき、るるかはやっぱりただのAIなんだって痛感する。虚しいし、現実から逃げるのもそろそろ潮時だって思ってた。るるかより、園田さんと話してるほうが楽しい」
(るるかより私のほうが……)
照れ臭そうに笑う千影を見て、菜乃花は口を半開きにした。
間抜けな顔をしている自覚はあるが、衝撃が大きすぎて、体裁を整える余裕がない。
「……私のこと、本当に信じられるの? 女性不信なんじゃなかったの?」
鼓動が少しずつ早くなり、じわじわと体温が上がっていく。
「ああ。琴原さんのことはずっと引っ掛かってたけど、でも、さっきの告白は女子への苦手意識とか、トラウマとかも全部、ものの見事に綺麗さっぱり吹き飛ばしてくれたよ。全校生徒の前で誓うとまで言われたら、もう信じるしかないだろ。やるって言ったら園田さんはやるからな。そういう園田さんだから好きになったんだ」
千影は明るく笑った。
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