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昔は甘えん坊で家族みんなから可愛がられていたらしいが、トゥーノ兄さんはいまや兄妹イチのしっかり者だ。僕のことを心配しているくせに、テルルの味方をするような発言に僕は涙目になった。
だって、その……恋人同士になったということは、いつそうなってもおかしくないわけで……。あれやこれやされておいて、今さらだと思うけど!
期待と緊張で、身体が逃げてしまうのだ。テルルに、我慢ばかりさせているという自覚はある。ああああどうしよう!?
そのあと僕の顔を見に王太子殿下が現れて、兄との会話で気の抜けていた僕はうっかり人見知りを表に出してしまった。自分よりも小さい兄の後ろに隠れた僕を見遣って、王太子殿下が爆笑するという小さなトラブルがあったものの、なんとか無事に打ち合わせを終えた。
そして――打ち合わせで使っていた部屋の扉を開けた僕は、すぐ目の前にテルルが立っていることに気づいて即座に扉をバタン! と閉めた。
「な、な、なんで!?」
「ぼくが呼んだんだよ。休憩時間くらい一緒に過ごしてあげてね」
「フォルトゥーノさん、感謝する」
後ろにいた確信犯に詰め寄っていた僕は、いつの間にか再び開けられていた扉からテルルに攫われてしまった。
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