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2年1組
俺は先程のヤンキー女のせいで、無事遅刻してしまった。
今は目の前の我がクラスの担任、安達先生の説教を喰らっている。
安達先生は容姿端麗、黒髪ショートの活発的な女性だ。殆どが男子だが、生徒人気がかなり高い。多分全員安達先生の胸部と顔に惹かれているんだろう。絶対に言えないが俺も今、安達先生の胸部をまじまじとガン見している。何故かいつもチャックの緩いジャージで、大抵谷間が見える。最高だ。
「…であって………又木、お前私の胸を見てないか?」
「ちょっと何言ってるか分かんないです。」
「お、おまっ、明らかにガン見してるだろうが!」
「逆に見ないほうが失礼ってもんだ。」
そんな訳無いじゃないですか。
おっと………本音と建前が逆になってしまった。
「はぁ………もういい、説教する気が失せた。」
「別に俺はまだまだ説教してもらっても結構ですが。」
「見る気だろ?」
「当たり前です。」
俺は生徒指導室からつまみ出された。安達先生を生徒指導担当にしたヤツが悪いと俺は思う。
花の香る渡り廊下を歩く俺に話しかけてきたのは、安達 漣。コイツは先程の安達先生の従兄弟にあたる男だ。正直、ずるい。
そこそこイケメンな顔立ち、地毛が茶色で180cmの高身長、スポーツ万能、彼女持ちのフルコンボだ。ただ…唯一コイツの欠点として………。
「やっほ、悠。春休みの課題よく分かんなかったんだ、教えてくんね?」
そう…頭が悪い………だが、課題の答えを写させて貰おうとしない所、心すらもイケメンだ。
逆にこの頭の悪さがギャップとなり、女子人気に拍車をかけている。
「しょうがねぇなぁ、じゃあ今日の放課後教えてやるよ。」
「さんきゅー!さっすが悠だ。」
「それほどでもあるよ、もっと褒めろ。」
「そういうとこだぞ〜?悠〜。だから彼女ができねぇんだ。」
「彼女持ちマウントかよ、俺にそれは効かないぜ?」
実の所、この一言でいつも俺の心にはクソデカい穴が空く。
「またまた〜。」
漣は分かっているかのように、何度もおちょくってくる。お前心理学でも学んだのか?
漣と約束を交わした俺は自身の教室2年1組へと辿り着く、漣は2組だ。
教室の扉を開けると、まず鼻にとてつもない匂いが届く。
肉が焼ける匂い。
扉を開け左に視線を移すと、人相が少し悪い男が焼肉を焼いている。学校机の上で、だ。
「お前…何してるんだ?」
「何って、見て分かんないかよ又木。焼肉だよ、焼肉。」
「………ここ教室だぞ?」
「?………教室内で焼肉を焼いてはいけないって法律でもあるのか?」
「常識的に考えろ、お前はおかしい。」
「これは俺の常識だ。」
「お前は一度常識を構築し直す必要があるようだな、青木。」
この焼肉を焼いているイカれ野郎は、青木 零こんなことをしているが、これでもクラストップの成績を誇る。天才には変人が多いと聞くが、これに関しては変人というよりバカである。バカと天才は紙一重ってヤツだ。
青木はちょくちょく似たようなレベルのやばいことを毎朝しているので、他のクラスメイト達は見向きもせずに、会話などをしてい………青木の列の一番後ろの男、佐伯 空が皿に盛った肉を食っていたように見えたが…まぁ気の所為だろう。
俺の席は佐伯の正反対の位置にある。窓際の席だ。
席に座ると、明らかな異変を覚える。
何かを尻で踏み潰したこの感覚………。まさか…!?
尻を上げると、俺の椅子の上で無惨にも潰れていたのは黒光りするアレ、そうGである。
「うぎゃぁぁ!!」
見事に叫んだが、よく見るとおもちゃ。かなり精巧に作られているようだ。
「あっはっはっはっ!!!」
隣の席から笑い声が聞こえる。
鳴戸 流花、イタズラをするために自分の魂を削る女。
そこそこいい顔をしている茶髪ツインテールである。
俺の反応がいいからか、2日に一回程こうしてイタズラをかけてくる。
体液を再現したのか、謎に濡れたこのおもちゃGを窓から投げ捨てた俺は、流花へ文句を言う。
「毎度毎度こんなイタズラしやがって………俺以外にもしろよな!」
「…絶対そのセリフじゃないでしょ…。」
俺に対して静かにツッコミを入れて来たのは、前の席に座る鈴川 秋瀬、圧倒的絶壁だが、胸部と人付き合いを犠牲に運動神経と頭の良さ、特殊性癖を得た女。
「…ところで悠君、髪の毛嗅がせてくれない…?」
重度の髪フェチである、本人曰く俺の髪はいい感じの匂いがするらしい。細かく説明しては貰ったが、難解すぎて何を言っているのか分からなかった。
さて、朝のホームルームが始まる。
取り敢えず安達先生から叱られる青木、先生の席にもGを仕込み、叱られる鳴戸。1年の時と変わらない朝だ………。
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