仕組まれた罠

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「ごめんなさい、あやめお姉様。急にお邪魔してしまって」 眉を八の字にして申し訳なさそうな顔をした椿は、私の顔をちらりと見ながらそう言った。ゆるくウェーブがかった長い髪に、垂れ目がちな瞳。ふわりとした可愛らしい雰囲気の彼女とは、一年ほど前に高羽家が隣家に越してきてから随分と仲良くしている。 「いらっしゃい。ちょうど今から仙とお茶にしようと思っていたところなの。椿もよかったら、一緒にどうぞ」 「いいんですか?ありがとうございます〜」 花のような笑みを浮かべた椿は、嬉しそうに玄関の戸を閉めて中へと入ってくる。 「仙、お茶を淹れてくるから椿を客間へ案内してあげてくれる?」 こそりと仙にそう頼めば、「お茶なら私が淹れてきます」と、なんだか微妙な顔を向けられた。 「どうして?」 「……どうも彼女は苦手で」 確かに、椿がうちに遊びに来るときは、いつも仙は彼女と関わらないようにしているのか距離を置いている節があったかしら。首を傾げながらも、私は「分かったわ」と仙に返して、お茶を淹れる役目を譲ることにした。 「どうかされましたか?」 後ろを向けば、下駄を脱ぎ終えた椿がにこりと笑顔を浮かべて私たちを見ていた。私は「ううん。じゃあ、客間へ行きましょう」と続けて、仙には目で「お願いね」と合図。椿を客間へと案内することにした。
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