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テレビのテロップに歌詞が流れる。
透明人間はあらわれないのだと。透明人間は見えないのだから、あらわれたりはしないのだと。
元気と好奇心だけが取り柄のどこにでもいる普通の女の子。
わたしは、自分のことをそう思っていた。けれど、違ったのだ。ミサキやカナに言わせれば、気持ち悪くて嫌われものだったのだ。
あの日、ミサキがクラスメイト全員に声をかけ、わたしを透明人間に仕立て上げた。授業中にうろついても生徒はおろか、先生さえもなにも言わなかったのは、わたしが普段からそういう子だったからだ。
落ち着きがなく、変なこだわりがあって、空気が読めない。
それが、わたし。
でも、当時はわからなかった。みんなが心の奥で本当はなにを考えているかなんて、そんなのわかる人いるんだろうか。言葉が言葉通りの意味じゃないなんて、そんなのただの嘘つきじゃないか。だけど、それはわたしがわからないだけで、他のみんなはわかるのだ。エスパーかよ。
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