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占い
午前7時15分。テレビのタイマーセットで目覚めた俺は、寝起きにも関わらずテレビから流れる音声に直ぐ様耳を傾ける。
平日の朝の俺は、番組内の一コーナーである、”今日の能美戸白美の占い”を視聴することが日課となっている。
目覚めたばかりとは言え聴き逃がす理由にはいかない俺は、直ぐ様上体を起こし、テレビに視線を向ける。
そして、俺はアナウンサーの読み上げる彼女の占いに期待を膨らませる…
一見、占い好きに見えるそんな俺も、元々は、殆ど占いになんて興味は持ってはいなかった。
特に、充実していた高校生の頃は気にもかけてはいなかった。
しかし、大学生になり夢に見ていた楽しい大学生活とはかけ離れた、現実の貧乏で何の楽しみも無い絶望的な生活に直面した俺は、何か縋るものを欲するようになっていた。
そんな時に出会ったのが、この占いである。
以降、俺はこの現況の打開を語ってくれることを期待して、毎日この占いを楽しみに視聴するようになっている。
今では、この占いだけが心の拠り所と言っても過言では無いのかもしれない。
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