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自分の踏ん切りがついてしまった。
でも桜も時間も待ってはくれずに、ただ散っていく。――これから時が経てば、新緑が芽生えるだろう。
「看護師が無理でも、お前なんとかなる。自分を信じる道を突き進めばいいさ」
そう言って父は甘酒を飲もうとしたら……花弁がそっと白濁液に浮かんだ。
「お父さんだけずるいよ。私は不安だらけなのにさ」
「人間は誰しも不安を抱いているんだ。――桜がいつだって咲くのとは勝手が違うんだよ」
ニヒルに笑う父に私はバツが悪そうな顔を浮かべてココアを飲む。
――この甘さが自分みたいで苛立ってしまうのは、どうして?
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