夢現境《ゆめうつつのさかい》

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「次の高麗鎮(こうらいちん)で倒した焰虎(えんこ)氷虎(ひょうこ)の二頭も元は継母(ままはは)に憎まれ、実の父親にも見捨てられて湖に身を投げた姉妹です」  再び断崖の遥か下を流れる河に目を落とした女の手が握り締められたまま震えた。 「互いに鏡に映したように良く似た、優しく愛らしい面差しの娘たちでした」  ザッ……。  崖の断面に生じた僅かな段に留まっていた小石の一つが風に攫われるようにして落ちていった。  女はその一石が深い谷底に吸い込まれていく様を見詰める。
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