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「……いいの、って聞かれても」
困ったように呟く彼女は黒髪のミディアムヘア。真面目そうな、大人しい顔立ちだった。隣に立つショートカットの女性がなお言う。
「佐藤さん放っておいていいの!? あの入ってきた子、明らかに狙ってるじゃん!」
「……凄く可愛い人、だね」
「そりゃ可愛いけどさ。入ってきて急に佐藤さんに目を付けて……佐藤さんは絶対、美鈴のことが好きなのに。そして、美鈴もそうなんでしょ?」
美鈴と呼ばれた黒髪の女性はビクンと肩が反応する。だが自信なさげに俯くだけだ。
「あんな可愛い人に言い寄られて、佐藤さんも嬉しいよきっと……」
そう言って辛そうに佐藤の方を見る。隣には、アイドルのような可愛らしい顔立ちで、さらにはスタイルもよく、明るい女性が笑っていた。
美鈴は泣きそうな顔になる。
「だから……私より、きっとあの人の方が佐藤さんに相応しいよ」
それを聞いた友人は、少し間があった後、冷たい声を出した。
「これまで佐藤さんがあれだけ美鈴を大事にしてくれたのに、その気持ちを疑うんだね」
美鈴がハッとした顔になる。さらに続けた。
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