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日々
八才の、私の世界は小説が全てだ。
理由は、昼は外に出ないよう、パパに言われているから。それともう一つ、本を読むことはママが好きだったからだ。
けれどママは、そんな大好きな本も、ぜんぶ残して出ていった。だから私にとって、この本はママのカケラみたいなものだった。
目の端っこで白いなにかが動く。目を細くして窓の外を見ると、雪が飛んでいるのを見つけた。夜になったら遊ぼうと考え、文字の方へ戻る。
今はまだ、読めない字がたくさんだ。けれど、じしょで調べてがんばって読んでいる。
私の何がダメで、ママが出ていったのかは分からない。けれど、頭のいい良い子になれば、戻ってくるかもしれないから。
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