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あと一人いなければ・・・・・・。
そうだ前の席の「カワシマ」がいなくなればいい。
そうすれば、座席の廊下側の隣が「アオシマ」になる。
そんな軽い気持ちだった。
おれが「カワシマ」を消したのは。
簡単だった。見通しの悪い、さらにガードレールも縁石もない歩道から車が来た時にカワシマを押して事故にあわせるのは。ちょっとふざけたふりをして体を強くぶつけてカワシマはあっさり車にひかれて死んだ。
こんなにうまくいくなんて怖いくらいだった。
でも、おれの計画は水の泡となったのだ。なぜならカワシマがいなくなってもカワシマの席はそのままでその代わりに花が置かれているのだから。
その光景を見ておれは泣いた。
そしたら何を勘違いしたか担任は、おれが同級生の事故死により心の傷を負ったと言いカウンセリングを受けるように指示してきた。
そう、今おれはカウンセリングを受けている。カウンセラーの優しさに思わずおれはカワシマを殺したことを懺悔してしまったのだ。ところがカウンセラーはカワシマが死んだ時には周りに誰もいなかったことが防犯カメラに写っている、君は人殺しじゃないと。
じゃぁ。おれがしたことはなんだったのか?軽く右肩をぶつけたときの衝撃とカワシマのぬくもり、車にはねられたときの衝撃音・・・すべて覚えているのに。
ケサレタノハナンダッタノカ?
ふと、おれはカワシマの席に花が置かれたときに
「わたしの隣がお花になって良かったわ」
と小さくつぶやき、そのきれいな横顔でほほ笑んだアオシマの顔がよぎって消えていった。
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