日曜日

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ごめんなさい。あれから碧の言っていた言葉を思い返しても、一つだけわからないことがありました。 「俺にとって、自由は、夜明け前が一番暗いように、辛くて、逃げだしたいと臆病になる存在だった。」 〝生きてる〟ってなんでしょうか。俺にはまだその感覚も分からないまま、貴方の歌を作ってしまいました。でも、 「でもそれでいいんだ。」 わからないなら、わかるまで藻掻けばいいと少し楽観的に思えてしまうのです。 「怖いなら怖いと、逃げたいなら逃げたいとそう素直に思えるなら。それこそが自由だ。」 だって貴方のおかげで、自由という恐怖を少し好きになれたんですから。それだけで世界が輝いて見えて、今はこのままでも良いと思えるんですよ。    「…!」  最後のセリフを言おうとした言葉が喉を通りすぎる前に見えない空気の壁にぶち当たった。  車いすを持っている黒髪の男と、それから隣でヒラヒラと手を振って立っている、金髪で上下スウェット姿の男が客席の後方に見えた。  あの公園で待っている時のような、  穏やかな笑顔だった。  「…蒼?」 幸介はMCの途中で黙ってしまった俺を心配そうに眺める。  客席は俺の異変には気づいておらず、最後の曲を心待ちにして俺たちを見つめている。  男は俺に向かって何かを伝えるように口を動かす。俺はそれを真似するように口を開いた。
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