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「え?! 有栖川さん達が京都の授業で遊びに行ったこと先生に言ったの?!!」
「別に、告げ口はしてない。どうせ、アイツらのことだ。ネットの情報そのまま鵜呑みにするだろうからな。アイツらが課題として出すはずだった行ってもいない見学先のアダペディアのページをちょっと編集しといてやっただけだ。ばれない程度に嘘を盛り込んでな」
アダぺディア――
似たような言葉を耳にした人も少なくないだろう。
ここでは、インターネット上の無料百科事典ということにしておきたい。
「まあ、まさか、裏付けも取らず、そのまま丸写しするとは思わなかったけどな」
「どうして、有栖川さん達も、京都御所のことレポートに書くって分かったの?」
「京都への道中、新幹線で話しているのを偶然聞いた。アダペディアを使えば楽勝とも言っていたな」
「……偶然?」
「そうだ、偶然だ」
真己は京都へ行く途中の彼の行動を思い返していた。
自分が窓側の席で眠っていた間、彼は何をしていたのか真己は知らない――
ただ、
「それでこの間の校外学習は、朝からスマホばっかり触ってたの?」
「編集作業が思いのほか忙しくてな。性格が悪そうと思われてるなら、これぐらいやらないとな」
日和は不敵な笑みを浮かべると、二ッと真己の方を向いて笑った。
「あ、そうだ。ついでに職員室で、菅原の机の上に、アダペディアのページをプリントアウトしてうっかり置いて来てしまった」
「……うっかり?」
「そうだ、うっかりしてた。俺としたことが」
「白々しい」
「何とでも言え」
日和は、有栖川への日ごろの嫌がらせに対する仕返しが成功して、大層機嫌が良さそうだった。
もちろん真己は、二人がどうしてここまで仲が悪いのか知らない。
きっと昔、何かあったのだろう、そんな想像をしていたが、敢えて嫌な思い出をほじくり返しては、日和の機嫌を損ねることは目に見えていたので、黙っていることにした。
そして――
真己と日和は並んで校舎の中庭を歩いていると、
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