#1 姫、狼さんに出会う

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「…ねぇ、ちょっとあれ、安達(あだち) (とおる) じゃない?」 「うそ、学校来るんだ?」 「えおい、見ろよ。がちで安達透だ」 「この時期に初登校かよ。」 窓際にいた1人がそう声をあげ、それに続くようにクラスメートも窓際に寄っていく。 「安達透?」 聞き覚えのない名前に、苺花は首をかしげた。 …だって苺花、そんな人の名前聞いたことない。 「安達、安達。そういえば、うちのクラスにいたよね、そんな名前。」 うーん、と考えながら言うのはいおちゃん。 この様子じゃ、いおちゃんもあんまり知らないんだろーな。 天然姫だとか、可愛いだとか、今もそうだけど、今までもどうしてか色々な噂をされる苺花。 美人で目立ついおちゃんは、それ以上で、 ふたりとも、あまり噂話は好きじゃない。 「あ、いおちゃんのデザート美味しそう、いっこちょうだい!」 「えー、やだよ」 それもあってか、特に興味も持たず、気ままなランチタイムを過ごす苺花たちでした。
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