#1 姫、狼さんに出会う

14/18
前へ
/216ページ
次へ
「…え、おい。」 気づいたら苺花、手を伸ばしていました。 行く先は、まっすぐ金髪へ。 ーーさらさら… 片方の目にかかっていた前髪に触れてみる。 さっきまで苺花を睨み付けていた切れ長の目は、ほんの少しだけ丸くなり、驚いたように苺花を見つめていた。 「…ちょ、てめ、やめろっ!!」 少し焦ったような声で、苺花の手を掴み、少し離れてから、触れられていた前髪をくしゃくしゃとする。 その仕草に、ほんの少しだけ、金髪くんの人間味が見えて、胸が高鳴ったような。 そんな気がした。 「……意味わかんね。」 そう小さく呟いた金髪くんは、教室から出ていってしまって。 少しの沈黙のあと、教室は一気に騒がしくなった。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加