#11 狼、天然姫の村へ

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「安達〜てめえ遅刻してんじゃねえ〜!」 教室の窓から、すっかり怪我の治った神原くんが叫ぶ。 いおちゃんと共に窓の外を確認すると、気だるそうに校舎に向かって歩く金髪の彼。 玄関に向かうことなく、真下へ来た彼は、神原くんやクラスメートに向かって毒づく。 「やっぱ授業はだりぃわ。」 「いいからさっさと上がってこい」 クラスメートの言葉に、面白そうに笑った安達くんは、ちらりと目線を動かし、苺花を見つけた。 「苺花、おはよ」 その優しい声質に、苺花は一気に体温が上がる。 「おはよ、透くん」 ぽやぽやした雰囲気に、クラスメートの男子は悔しそうな顔をして、 女の子たちは、「きゃあ」と控えめな歓声を上げた。 「安達、さっさと来ないと、苺花が寂しがるわよ」 いおちゃんが言うと、安達くんは小さく笑う。 「はいはい、行きますよ」 そのやり取りにも、何故か男の子は悔しそうな顔をして、安達くんを睨んだ。 「てめえらは顔がうるせーよ」 「はぁああ、だってお前、ずるいだろ?」 「そうだよ、桜井さんも早柿さんも俺らのアイドルなんだよ!!!」 騒ぎ出す男子たちに、苺花といおちゃんは、苦笑いをして。 だけど、楽しそうに笑う透くんを見て、苺花は幸せそうに笑いました。 天然姫は、見事、オオカミさんを村へと招き入れたのです。
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