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#1 姫、狼さんに出会う
「苺花!おはよっ!!」
いつも通る見慣れた通学路は、桜の花が満開!
そんな桜の木を見ていたら、
去年、ドキドキしながらこの道を歩いた記憶が甦ってきた。
「…ん?どうしたの?」
反応しない苺花に、長い黒髪を揺らしながら呼び掛ける女子生徒。
「あのね、去年のこと思い出してたの!」
桜に負けない満開笑顔でそういうと、彼女は美しく可憐に笑った。
その笑顔には、通学路を通る、真新しい制服を着た彼も、着古した制服を着た彼も、通勤中のあの人だって。
その場にいたみんなが、目を奪われ、顔を紅潮させる。
間近で見た苺花も、その1人で。
正気に戻ったときには、彼女はいつもの表情に戻り、不思議そうに苺花のことを見ていた。
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