学年トップの王子様?

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学年トップの王子様?

 私立三駒(みこま)高校は都内有数の進学校だ。  実力テストが終わると上位百名が公表されるため、結果発表の日には多くの生徒たちが掲示板前に集う。  夏の暑さが続いている九月上旬、午後一時過ぎ。 (……また負けた……今回も私が二位だ……)  夏休み明けテスト結果が貼り出された三階廊下の掲示板の前で、花守沙良(はなもりさら)はがっくりと項垂れた。  夏休みは実家の店の手伝いをし、何度か友達と遊びに出かけた。  それ以外の時間はほとんど自室に篭り、学年一位を目指してひたすら勉強していたのだが、沙良の夢は今回も叶うことなく終わってしまった。 「やったー、九位! 臨時収入(こづかい)ゲット!」  悄然と肩を落とす沙良とは対照的に、近くにいた男子生徒は歓喜の表情でガッツポーズした。 「九位とかすげーな、お前。てっきりただのサッカー馬鹿だとばかり思ってたわ、ごめん」 「お? やるか? やんのかコラ」 「やっばー、三十八位だって。夏休み遊びすぎたなー」 「ちょっと、それ、名前すら載ってない私への嫌味?」 「見て見て! 私、四位だよ!? 凄くない!? 偉くない!? 褒めて褒めて!!」
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